帰納極限について

帰納極限」について考えてみたいと思います。

集合と写像のあつまり
T={集合A[i](i∈I、Iは有向集合)、写像f[ji] : A[j]→A[i](i<j)}
を「I帰納系」といいます。
Tの「帰納極限」を、次の条件をみたすような集合Aと定義します。
(1)任意のi∈Iに対し、Tの写像u[i] : A[i]→AがTの写像である。
(2)f[ji]=id_Aとなる。
(3)v[i] : A[i]→BがTの写像なら、集合の写像g : A→Bが一意的に存在して、v[i]=g u[i]となる。

次のことを証明します。

【命題】I帰納系TのA[i]たちが群なら、帰納極限Aが存在してAは群である。
(証明)
a[i]∈A[i], a[j]∈A[j]に対し、あるk∈I(i,j<k)が存在してf[ki](a[i])=f[kj](a[j])となるとき、a[i]とa[j]は同値であるといい、a[i]~a[j]と書きます。
A[i]たちの直和A'に対し、同値類の集合A'/~をAとし、A[i]のA'への自然な埋め込みA[i]→A'と、剰余写像A'→Aの合成をu[i] : A[i]→Aとすれば、Aは帰納極限になっています。

Aの2元u[i](a[i]), u[j](a[j])の演算をu[i](a[i])u[j](a[j])=u[k](f[ki](a[i])f[kj](a[j]))(i,j<k)で定義すると、この定義はa[i],a[j]やkに依存しません。Aはこの演算によって群になります。□